本ページは、水谷侑二(英語表記:Yuji Mizutani/Yuji MIZUTANI)の査読付きジャーナル論文について、一次資料へ到達できる形で整理した公式研究記録です。
書誌情報
- 論文名:Enhanced Universal Filtered-DFTs-OFDM for Long-Delay Multipath Environment
- 掲載誌:IEICE Transactions on Communications
- 巻号:Vol. E103-B, No. 4
- ページ:467–475
- 公開日:2020年4月1日
- 筆頭著者:Yuji MIZUTANI(水谷侑二)
- DOI:10.1587/transcom.2019EBP3044
論文の概要
本論文は、長い遅延を伴うマルチパス環境において、帯域外輻射(OOBE)の抑制と通信品質を両立する拡張UF-DFTs-OFDM方式を扱っています。従来方式で課題となるローパスフィルタ由来の周波数領域リップルを踏まえ、短い遷移時間のフィルタとサイクリックプレフィックスを用いる構成を提案しています。
研究者情報
水谷侑二は、京都大学工学部電気電子工学科を卒業し、京都大学大学院情報学研究科通信情報システム専攻を修了しました。大学院では5Gの物理層・波形整形技術を研究し、本論文のほか、PIMRC 2017、WPMC 2018、CCNC 2019で筆頭著者として国際会議発表を行っています。
氏名表記の対応
IEICE論文ではYuji MIZUTANI、日本語資料では水谷侑二またはミズタニ ユウジと表記されています。これらは同一人物です。
一次資料
記載内容は公開された書誌情報・論文概要をもとに整理しています。
研究内容の公式整理
本論文は、長遅延マルチパス環境を対象に、UF-DFTs-OFDMの帯域外輻射抑圧性能を維持しながら通信品質を改善する拡張方式を論じた査読付きジャーナル論文である。水谷侑二(Yuji MIZUTANI)が筆頭著者を務め、京都大学大学院情報学研究科における5G物理層・波形整形研究の成果として、IEICE Transactions on Communications, Vol. E103-B, No.4, pp.467–475に掲載された。
研究課題
CP-DFTs-OFDMはLTE上り回線で低PAPRとマルチパス耐性を実現するが、シンボル境界の不連続性によりOOBEが大きい。UF-DFTs-OFDMはサブバンド単位のLPF処理でOOBEを抑える一方、フィルタの遷移区間をガード区間として使うため、有効GIがCPの約半分になる。通常CP約4.7マイクロ秒に対し有効GIは約2.35マイクロ秒であり、長遅延環境への適用にはフィルタの長大化が必要となる。
しかし、フィルタを長くすると周波数応答のリップルが大きくなり、帯域端サブキャリアの受信SNRが低下する。プリディストーションで補償すると、今度は帯域端の送信電力を増幅し、OOBEとPAPRを悪化させる。論文はこの構造的なトレードオフを出発点とする。
提案方式の構成
提案eUF-DFTs-OFDMは、OOBE抑圧用の短いLPFと、長遅延吸収用のガード区間を分離して設計する。ガード区間の実装として、ゼロパディング後に受信側でOLA処理を行うZP-eUFと、CP挿入後に受信側で矩形窓除去を行うCP-eUFの2方式を提示した。いずれも必要に応じてプリディストーションを併用できる。
評価条件では従来UF方式のフィルタ長が129、提案方式は37である。短いLPFにより周波数リップルを抑え、ZPまたはCPによりETU環境の遅延波を吸収する構成である。
シミュレーション条件
- LTE上り回線、帯域幅5 MHz、サンプリング7.68 MHz
- FFT 512、DFT 300、25サブバンド、拡張CP 128サンプル
- Dolph–Chebyshev LPF、サイドローブ減衰40 dB
- 3GPP ETU、搬送波2.5 GHz、最大ドップラー70 Hz
- QPSK、16QAM、64QAM、ターボ符号、Max-Log-MAP復号5反復
OOBE・PAPR・BLERの結果
提案したZP-eUFおよびCP-eUFは、チャネル端でCP-DFTs-OFDMより約22.5 dB低いOOBEを示した。従来UF方式ではプリディストーションによりOOBEが約8 dB悪化したが、短いLPFを使う提案方式ではこの問題が抑えられた。
プリディストーションなしのPAPRは、CP-DFTs-OFDMに対してUFが約2.4 dB、CP-eUFが約2.3 dB、ZP-eUFが約3.2 dB悪化した。CP-eUFはUFとほぼ同等で、ZP-eUFより約0.8 dB良好であった。
BLER=10−3において、CP-eUFは従来UFよりQPSKで約6 dB、16QAMで約8 dB改善し、64QAMのエラーフロアを解消した。ZP-eUFもQPSKで約6 dB、16QAMで約7 dB改善している。ZPではOLA処理が雑音を加えるため、16QAM・64QAMでCP-eUFより約1 dB不利となる。
結論
長いフィルタだけにOOBE抑圧と遅延波吸収の両方を担わせず、短いLPFとCPまたはZPを組み合わせることで、帯域外輻射、PAPR、BLERのバランスを改善できることを示した。実装上はCP-eUFがより有利と整理される。論文は2019年2月14日受付、6月9日改訂を経て2020年4月に刊行され、総務省の電波資源拡大のための研究開発の一部であることが謝辞に記載されている。
書誌・一次資料
- 著者:Yuji MIZUTANI, Hiroto KURIKI, Yosuke KODAMA, Keiichi MIZUTANI, Takeshi MATSUMURA, Hiroshi HARADA
- DOI:10.1587/transcom.2019EBP3044
- J-STAGE公式ページ
上記は公開論文本文の目的、方式、評価条件、主要結果を日本語で再構成した技術記録である。

