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暗号資産が一斉上昇した4つの理由|利確前に確認すべき海外税務3点

暗号資産市場が一斉に動くとき、価格だけを見ていると判断を誤ります。重要なのは、誰が、どの経路で、なぜ買ったのかを分けて考えることです。

今回の上昇は、一つのニュースだけで説明できません。米国債市場への流動性支援、現物ビットコインETFへの資金流入、米国の規制整備期待、そしてショートスクイーズ。この四つが同じタイミングで重なりました。

さらに暗号資産で含み益を持つ日本人には、相場とは別の問題があります。海外移住後に利確を考えるなら、税率の低い国を探す前に、税務上の居住地、課税対象となる取引、換金経路と記録を確認しなければなりません。

暗号資産が一斉上昇した4つの理由
今回の上昇を支えた四つの要因
この記事の要点

  • 米財務省の措置はFRBの量的緩和ではなく、長期国債市場への流動性支援
  • 現物ビットコインETFは8月26日まで8取引日連続の純流入
  • CLARITY Actは成立済みではなく、上院で審議中
  • 短時間の上昇幅にはショートポジションの強制買い戻しも影響
  • 海外移住後の利確は「移住日」だけで課税関係が決まらない
目次

理由1 米国債市場の流動性改善期待

2026年8月19日、米財務省は10〜20年と20〜30年の長期国債を対象とする流動性支援目的の買い戻しについて、1回当たりの上限を20億ドルから少なくとも40億ドルへ引き上げると発表しました。開始日は9月9日です。

米財務省による長期国債買い戻し上限の引き上げ
20億ドルから少なくとも40億ドルへ。FRBのQEではなく米財務省による流動性支援

ここで区別したいのは、これはFRBが市場へ資金を供給する量的緩和、いわゆるQEではないことです。発表主体は米財務省であり、公式発表も目的を長期国債市場の流動性支援と説明しています。

それでも暗号資産が反応したのは、長期国債の取引環境が改善し、長期金利の上昇圧力が和らぐとの期待が、株式や暗号資産などのリスク資産へ波及したためです。ただし、国債買い戻しと暗号資産価格の上昇に機械的な因果関係があるわけではありません。市場参加者の期待を通じた波及と捉えるのが適切です。

理由2 現物ビットコインETFへ実際の資金が戻った

二つ目は、期待ではなく資金フローです。Farside Investorsの集計では、8月17日から24日までの6取引日すべてが純流入でした。日次の流入額は、2億9,750万ドル、1億8,930万ドル、5億1,720万ドル、6億630万ドル、3億750万ドル、3億3,760万ドル。合計は約22億5,540万ドルです。

現物ビットコインETFに6取引日連続で純流入
8月17〜24日の6取引日で合計約22.6億ドルの純流入

さらに公開データを8月26日まで延ばすと、25日は3億1,430万ドル、26日は2億3,220万ドルの純流入でした。したがって、8月17〜26日の8取引日連続で、累計約28億190万ドルの純流入となります。

ETFの普及で、投資家は暗号資産取引所やウォレットを直接使わず、証券口座からビットコイン価格へアクセスできるようになりました。カストディ、会計、コンプライアンスの障壁が下がり、機関投資家や富裕層の資産配分が市場へ反映されやすくなっています。

一方、ETF資金は一方向に流れ続けるとは限りません。上昇の持続性を確認するなら、価格だけでなく、日次の純流入がショートカバー終了後も続くかを見る必要があります。

理由3 米国の規制が「禁止」から「制度化」へ向かう期待

三つ目は、米国の規制整備への期待です。8月19日のホワイトハウスでの会合で、トランプ大統領は米国がビットコインや暗号資産などの分野で主導的地位を維持すると述べ、議会に「公正な形のCLARITY Act」を前進させるよう求めました。

CLARITY ActとSEC・CFTCの監督範囲
暗号資産をデジタル商品と証券にどう区分し、どの当局が監督するかを整理する法案

CLARITY Actは、デジタル商品の取引についてCFTCの管轄を定め、投資契約に関係するデジタル資産についてSECの管轄を明確にする市場構造法案です。

ただし、2026年8月27日時点で成立した法律ではありません。米議会の公式記録では、下院は2025年7月17日に294対134で可決しましたが、上院の銀行・住宅・都市問題委員会へ付託された段階です。市場が評価したのは成立という事実ではなく、大統領が法案の前進を公に求め、制度化への政治的意思を示したことです。

理由4 ショートカバーが値動きを増幅した

四つ目は市場内部のポジションです。CoinDeskは、8月20日の上昇局面で約4時間に14億ドル規模のショートポジションが清算されたと報じています。イーサリアムは24時間で約18%上昇しました。

暗号資産市場のショートスクイーズ
価格上昇がショート清算を呼び、その買い戻しが次の上昇を生む

価格下落を見込んで売りポジションを持っていた投資家は、損失拡大や強制清算を避けるために買い戻します。その買いが価格をさらに上げ、別のショート清算を呼ぶ。これがショートスクイーズです。

したがって、短時間の急騰をすべて新規の長期投資家による買いとみなすのは危険です。ETFの現物需要と、デリバティブ市場の強制買い戻しを分けて見る必要があります。

今回の上昇が続くかを見る三つの指標

  1. 現物ETFの日次フロー:純流入が続くか、価格上昇後に流出へ転じるか
  2. 米長期金利とドル:リスク資産に逆風となる再上昇が起きないか
  3. 先物の建玉と資金調達率:上昇後にレバレッジが再び過熱していないか

相場の材料が正しくても、価格が一直線に上がるとは限りません。特にショートスクイーズ後は、短期的な反動も起こりやすくなります。

暗号資産投資家の移住先は、税率だけで選ばない

暗号資産投資家の移住先として、タイとマレーシアは生活環境、長期滞在の選択肢、日本からの距離という点で有力候補になり得ます。ただし、「暗号資産の税金がゼロになる国」と一括りにすることはできません。

暗号資産投資家がタイとマレーシアを検討する際の税務論点
税率だけでなく、居住者判定、取引頻度、所得の源泉、送金、利用業者を確認する

タイ歳入局の公式説明では、暦年で180日を超えて滞在する人を税務上の居住者とし、タイ源泉所得に加えて、国外源泉所得のうちタイへ持ち込まれた部分が課税対象になると説明しています。暗号資産の取引方法や認可業者の利用、所得の性質、送金時期によって扱いが変わるため、居住日数だけで結論は出せません。

マレーシア内国歳入庁の2025年版ガイドラインも、デジタル通貨の課税は取引の事実関係を総合して判定するとしています。積極的・反復継続的な取引から生じる利益は課税対象になり得ます。「個人なら原則ゼロ」とだけ理解せず、投資か事業か、所得の源泉はどこか、資金をどこで受け取るかを整理する必要があります。

利確前に確認すべき海外税務3点

1 税務上の居住地

日本の国税庁は、居住者を「国内に住所を有し、または現在まで引き続き1年以上居所を有する個人」と説明しています。住所は生活の本拠であり、客観的事実で判定されます。

税務上の居住地は183日だけで決まらない
日本側と移住先側の基準を分け、租税条約も含めて確認する

住民票を抜いた日、海外へ出国した日、ビザを取得した日、183日を超えた日のいずれか一つで、自動的に日本の非居住者になるわけではありません。住居、家族、職業・事業、資産、日本との関係、海外での生活実態を総合して考えます。日本と移住先の双方で居住者となる可能性がある場合は、租税条約の恒久的住居、利害関係の中心、常用の住居などの判定も関係します。

2 課税対象となる取引

暗号資産の「利確」は、法定通貨への換金だけとは限りません。暗号資産同士の交換、商品やサービスへの支払い、ステーキング報酬、レンディング、デリバティブ、事業としての高頻度売買など、国ごとに課税時点と所得区分が変わります。

「どの銘柄を、いつ取得し、何と交換し、どの時点で利益が確定したか」を取引単位で確認できる状態にしておく必要があります。

3 換金経路と取引記録

移住前後の取引所、ウォレット、銀行口座、送金先を一つの時系列にまとめます。最低限、取得日、取得価額、数量、手数料、移転元・移転先、売却・交換日、受取通貨、銀行着金、トランザクションIDを残します。

日本人が暗号資産を利確する前の3確認
税務上の居住地、課税対象となる取引、換金経路と取引記録を売却前に設計する

海外移住後に慌てて過去の履歴を集めるのではなく、売却前に日本側と移住先側の専門家へ同じ資料を渡せる形にしておくことが重要です。


海外移住と暗号資産の利確を、順序から整理したい方へ

暗号資産の利確では、「税率の低い国」を先に決めるより、居住地、取引時点、所得区分、換金経路、必要な記録の順に整理する方が安全です。

今回の4つの上昇要因と、利確前に確認すべき海外税務3点は、YouTubeでチャートと図解を使って詳しく解説しています。

【動画で確認する】暗号資産が一斉上昇した4つの理由|日本人が利確前に確認すべき海外税務3点


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