タイで生活拠点を探すとき、シラチャはかなり魅力的に見えます。バンコクとパタヤの中間にあり、空港にも比較的アクセスしやすい。日本人向けの生活環境が整い、海の見える広い住戸もバンコク中心部より低い予算で見つかります。
私も条件だけを見ていたときは、「ここは移住先として有力なのではないか」と期待していました。そこで友人6人と一泊二日で滞在し、ホテル、買い物、寺院、夜の中心街まで自分の足で確認しました。
結論から言うと、条件は魅力的です。ただし、条件のよさと「その街で時間を過ごしたくなるか」は別でした。これはシラチャを否定する話ではなく、移住候補地を数字だけで選ばないための現地確認レポートです。

シラチャに期待した4つの理由
訪問前に感じていた魅力は、主に次の4点です。
- バンコクまで車で約1時間半〜2時間
- パタヤまで約30〜40分
- スワンナプーム空港まで約1時間強
- 比較的低い住居費で、広めのオーシャンビュー住戸を選べる可能性
交通時間や家賃は、時間帯、物件、契約条件によって変わります。それでも、バンコクの都市機能、パタヤの娯楽、空港への移動を一つの拠点から使えるように見える点は、資産と時間に余裕のある人にとっても魅力的です。

生活のハード面は想像以上に整っていた
宿泊したオークウッド ホテル&レジデンス シラチャには、インフィニティプール、温泉、ジム、ゴルフシミュレーター、カラオケルーム、キッズルーム、ルーフトップバーがありました。日常の買い物にはセントラル・シラチャやパシフィックパークがあり、日本食を含む生活利便性も高い街です。
つまり、シラチャは「不便な地方都市」ではありません。住居、買い物、運動、家族向け設備というハード面だけなら、長期滞在を具体的に想像できます。ホテルではエレベーターの混雑が気になりましたが、施設自体は充実していました。

それでも友人3人は、夜中にバンコクへ戻った
今回の滞在で最も象徴的だったのは、同行した6人のうち3人が、深夜0時ごろに予定を切り上げてバンコクへ戻ったことです。「このまま泊まるより、バンコクへ帰ったほうが楽しい」という判断でした。
設備が不足していたわけではありません。寝る場所も、食事も、買い物もあります。それでも、その街でもう少し時間を使いたいという気持ちが生まれなかった。ここに、移住先を評価するときの重要な論点があります。

移住先の満足度を決める「人・場所・雰囲気」
現地での違和感を整理すると、「人・場所・雰囲気」の3つに集約されました。
1.人:仕事の外側に関係性をつくれるか
シラチャには多くの日本人駐在員が暮らしています。ただし、日本人が多いことと、会社や属性を越えて友人をつくりやすいことは同じではありません。仕事以外で会いたい人、価値観を共有できる人、何かを一緒に始められる人に出会えるか。富裕層ほど、人的資本と信頼できるネットワークが生活満足度に与える影響は大きくなります。
2.場所:毎週通いたい場所が複数あるか
大型商業施設はありますが、夜に繰り返し訪れたい娯楽・交流場所の選択肢は、バンコクやパタヤほど多く感じませんでした。重要なのは施設の数ではなく、自分が実際に使う場所があるかです。ゴルフ、食事、文化、学び、交流、自然。自分の時間を豊かにする場所が生活圏内にあるかを確認する必要があります。
3.雰囲気:街にいたいと思えるか
土曜日の夜に中心街を歩いたときは、人通りが少なく、期待していた活気を感じにくい時間帯がありました。海も観察地点からは手前が濁って見え、海辺に期待した開放感を十分には得られませんでした。これは訪問時点・地点からの印象であり、原因や街全体の環境を断定するものではありません。それでも、毎日の気分に影響する「雰囲気」は、資料だけでは見抜きにくい重要な情報です。

「どこへも行ける」は、「日常的に行く」とは限らない
シラチャは地図上ではバンコクとパタヤの間にあります。しかし、片道30分〜2時間の移動を、仕事のある平日や週末にどれだけ繰り返せるでしょうか。
富裕層の拠点選びでは、家賃差よりも時間差が重要です。住居費が下がっても、会いたい人や使いたい場所へ移動する時間が増え、結局その選択肢を使わなくなるなら、本当の意味で割安とは言えません。「近い」という表示ではなく、その移動を毎月何回、本当に使うのかまで考える必要があります。

現地の空気感は映像で確認できます
ホテル設備、街の人通り、中心街、ワット・コーロイ、海の見え方など、文章では伝わりにくい部分は現地映像に収めています。移住候補としてシラチャを検討している方は、次の映像でご自身の感覚と照らし合わせてください。
移住を決める前に、現地で確認したい5つの質問
- 仕事以外で、会いたい人と出会えるか
- 毎週通いたい場所が複数あるか
- 平日と週末の両方で、街に心地よさを感じるか
- 空港や大都市への距離を、実際に使いこなせるか
- 安い住居費と引き換えに、時間や選択肢を失っていないか
可能なら、短期旅行だけでなく、平日と週末を含む試住を行ってください。朝、昼、夜に同じ生活圏を歩き、買い物、食事、仕事、運動、人との交流まで試す。そこで初めて、自分に合う街かどうかが見えてきます。

シラチャは「合う人」が明確な街
勤務先がシラチャ周辺にあり、静かな環境、日本人向けの利便性、広い住戸、ゴルフや家族との時間を重視する人には、合理的な選択肢になり得ます。一方で、多様な人との出会い、都市の刺激、夜の選択肢、海辺のリゾート感を重視する人は、期待とのずれを感じる可能性があります。
今回の評価は一泊二日の滞在と、同行者・現地で会った方々の反応をもとにした体験談です。シラチャで自発的に暮らし、別の魅力を知っている方がいれば、ぜひYouTubeのコメント欄で教えてください。違う視点が加わることで、これから移住先を選ぶ人の判断材料が豊かになります。
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※所要時間・住居費は訪問時に紹介した目安であり、交通状況、場所、物件、契約条件、為替により変動します。本記事は一泊二日の体験評価であり、街全体の統計的な評価ではありません。
この記事の運営者については、水谷侑二(YUJI)の公式プロフィールで、京都大学・同大学院での研究歴、Silver Crest Advisory OÜ、海外移住OSの開発、現在の活動をご確認いただけます。

