タレントの菊地亜美さんが、6歳の長女と1歳の次女とともにマレーシアへ移住し、日本との二拠点生活を始めると公表しました。夫は仕事のため日本に残り、期間は当面2〜3年。長女の小学校入学を機に、仕事、子育て、子どもとの時間、教育について家族で話し合った上での決断だと説明しています。
このニュースで注目したいのは、移住そのものの是非ではありません。約5,000万円のマレーシア不動産購入、滞在資格、母子留学という3つの要素を、どのような順番で考えるべきかです。
結論から言えば、海外移住は「紹介されたビザ」や「買える物件」から選ぶのではなく、目的、期間、家族構成、就労、教育、資産配分から逆算する必要があります。
まず、公表された事実と不明点を分ける

公表されているのは、娘2人との移住、夫は日本に残ること、日本との二拠点生活、当面2〜3年という期間、教育を含め家族で検討したことです。
一方、実際に使うビザ・パス、物件購入と滞在資格の関係、物件の所在地や維持費、相談した事業者は公表されていません。したがって「このビザを取った」「ビザのために物件を買った」と断定することはできません。
約5,000万円の物件購入は本人が公表している

菊地さんは2026年1月のテレビ番組で、前年にマレーシアの約150㎡・3LDKのマンションを現金で購入し、価格は約5,000万円だったと明かしています。情報源は、スポニチの記事とNarinari.comの記事で確認できます。

5,000万円は為替次第でおおむねRM1,000,000前後になります。ただし、円換算額は為替で動きます。また、外国人が購入できる最低価格は州や物件区分によって異なるため、「この金額だからこの制度」と結論づけることはできません。
MM2H Silverは一つの仮説にすぎない

物件価格と長期滞在を組み合わせるとMM2Hを連想しやすいものの、本人の滞在資格は公表されていません。ここは事実ではなく、公開情報から考えられる仮説として扱う必要があります。

MM2H公式サイトによると、Silverカテゴリーの主な条件には、USD150,000の定期預金、5年の更新可能なパス、RM600,000以上の住宅購入があります。
ここで重要なのは、MM2Hの連邦要件と、州が定める外国人の不動産購入ルールを分けることです。州側の最低購入価格がRM600,000より高い場合もあるため、最終的には購入予定地の現行ルールを州当局と不動産に詳しい弁護士へ確認する必要があります。

定期預金と住宅購入を合わせると、資産配分への影響は小さくありません。ただし、画像の円換算は概算です。実際の必要額は為替、購入する州、取得費、専門家費用、家族構成、選ぶ制度で変わります。
母子留学には別の滞在経路もあり得る

学校や条件によっては、子どものStudent Passと、保護者向けSocial Visit Passを組み合わせる経路も検討できます。マレーシア入国管理局のStudent Pass案内では、対象となる保護者の範囲が示される一方、保護者は就労や事業活動を行えないとされています。
したがって、「母子留学なら保護者パスが必ず最安・最適」とも言えません。本人の仕事、日本との往来、学校の認可、滞在期間、同伴家族をそろえて比較する必要があります。
不動産は、ビザとは別に買う価値を判断する

自宅として毎年使いたい、内装を自由にしたい、家族の拠点として長く保有したいなら、収益率だけでは測れない生活上の価値があります。一方、2〜3年の滞在が中心なら、賃貸の方が売却リスク、為替リスク、管理負担を抑えやすいこともあります。
投資として比べるなら、物件価格だけでなく、取得費、管理費、Sinking Fund、空室、修繕、家具・家電、仲介手数料、税・保険、為替、売却までの期間を含めてください。表面利回りがそのまま手取りになるわけではありません。
NAPICの公的データは「物件の答え」ではなく市場の入口

営業資料だけでなく、マレーシア政府系の不動産統計機関NAPICのデータを確認する姿勢は重要です。2026年第1四半期の暫定表では、クアラルンプールの高層住宅価格指数は236.8、前年同期比は+0.2%。2025年第4四半期の244.9と比べると約-3.3%でした。
ただし、これはKL全体の指数です。特定の地区、築年、間取り、デベロッパー、外国人向け物件の将来価格を示すものではありません。市場全体の傾向を見た後に、候補物件の成約価格、賃料、空室、管理状態、売却事例へ降りていく必要があります。
相談相手は「誰から報酬を得るか」まで確認する

不動産会社、ビザ支援会社、学校紹介会社には、それぞれ専門性があります。同時に、販売手数料や紹介料が発生する場合、提案にはその事業構造が影響します。これは特定の会社を疑うという話ではなく、重要な意思決定で一般的に行うべき利益相反の確認です。
- 相談料は誰が支払うのか
- 物件、学校、法人、金融商品の成約報酬があるか
- 紹介先から手数料やキックバックを受けるか
- 賃貸や別のビザを含む複数案を比較したか
- 選ばなかった案の理由を説明できるか
結論:売られている商品ではなく、自分の目的から決める

菊地亜美さんの事例から学べるのは、本人の選択を外から評価することではありません。公開されていない事情を断定せず、自分が同じ立場ならどの順番で確認するかを考えることです。
- 移住目的と期間を決める
- 家族それぞれの活動に合う滞在資格を比較する
- 住居は賃貸と購入を総費用・流動性・出口で比べる
- 資産として買うのか、生活価値のために買うのかを分ける
- 相談相手の報酬と利害関係を確認する
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参考情報
- 中日スポーツ:菊地亜美さんのマレーシア移住公表
- スポニチ:マレーシア物件購入の本人発言
- Malaysia My Second Home:Silver公式要件
- マレーシア入国管理局:Student Pass
- NAPIC:Malaysia House Price Index Q1 2026P
この記事の運営者については、水谷侑二(YUJI)の公式プロフィールで、京都大学・同大学院での研究歴、Silver Crest Advisory OÜ、海外移住OSの開発、現在の活動をご確認いただけます。

